ここでは、冬季オリンピックの全競技のごく簡単なルールと、予備知識などを紹介します。
■ スキー ■
アルペン
斜面をスキーで滑り降りる競技です。コースにはいくつもの旗門があり、そこを通過する必要があるので、選手は少しでもタイムを縮めるために、ギリギリの突っ込みをかけるところなどが見所です。アルペンという競技内で、更に細かい種目に分かれており、非常にスピード感あふれる「滑降」、細かいターンが必要となる「回転」、大きなターンが必要となる「大回転」、滑降と似た「スーパー大回転」という種目があります。
クロスカントリー
スキーというと「滑る」というイメージですが、クロスカントリーは「走る」に近い競技です。陸上競技でいうと短距離走やマラソンのような種目があります。種目では「クラシカル」や「フリー」というものなどがありますが、これは走法をさしています。「クラシカル」とは両足を揃えて、ストックを地面(雪面)に突き刺し、腕力で滑っていくような走法のことです。「フリー」は水泳でいう自由形と同じく、自由なのですが自ずと有利な走法となるため、スピードの出るスケーティング走法となるようです。「複合」という種目もあり、これは前半は「クラシカル」、後半は「フリー」というものです。
ジャンプ
高台にあるジャンプ台の斜面を滑り降り、地上の斜面に向かって大きくジャンプして、得点を競う競技です。実は昔、囚人に対する刑罰として行われていたものがスポーツへと発展しともいわれていますが、それは都市伝説だともいわれており、真偽のほどは定かではありません。日本が一番初めに金メダルを獲得したのもこの競技です。よく「日の丸飛行隊」などという古めかしいフレーズが使われるのは、この影響だと思われます。飛行フォーム・着地の美しさを5人の審査員が20点満点で審査し、最高点と最低点を除いた3人の合計点が飛型点となります。また、飛距離に対する点数として、ジャンプ台ごとに決められた「K点」という地点まで飛ぶと60点とし、それより前だと減点、超えると加点、となります。飛型点と飛距離点の合計がそのジャンプの得点となります。ジャンプ台は、小さめの「ノーマルヒル」と、大きい「ラージヒル」があり、種目として分かれています。
ノルディック複合
前半がジャンプ、後半がクロスカントリーという、2つの競技が複合された競技であり、この競技の覇者こそ「キング・オブ・スキー」の称号にふさわしいといわれています。ジャンプの得点は15点=1分と換算され、後半のクロスカントリーのスタート時の出発時間に影響を与えます。「個人」という種目では、ジャンプ2回、クロスカントリー15Kmです。「個人スプリント」では、ジャンプ1回、クロスカントリー7.5km。「団体」は4人で行い、後半のクロスカントリーが1週5kmでのリレーとなります。
フリースタイル
フリースタイルは歴史の浅い競技ですが、注目度は高いといえるでしょう。種目は「モーグル」と「エアリアル」、「スキークロス」という種目に分かれています。「モーグル」は雪のコブが並んだコースに2箇所、小さなジャンプ台があり、そこで2回のエア(空中演技)を行います。結果は得点制で30点満点です。得点配分はターン(コブのある斜面をしっかりと体重移動しながらターンできているか)が50%、タイム(ゴールまでの時間)が25%、エアが25%です。上位陣ではターンとタイムだけでは大きな差がつきにくいため、エア勝負!といった展開が多くなり、難易度の高いエアが見所です。「エアリアル」は急斜面を滑り降り、高さ3メートルほどのキッカーから跳び、エア(空中演技)を行います。エアの難易度点が20%、フォームが50%、着地が30%で、選手が事前に申告した技として審査・採点されます。助走前のこれからの演技をイメージしたダンスも、少し面白いです。「スキークロス」は4〜6人の選手がオートバイのモトクロスのように一斉にスタートして滑降し、ゴールを競い合う激しいレースです。
スノーボード
長野オリンピックから正式種目に採用されたスノーボード。スノボー版アルペンともいえる「パラレル大回転」は旗門を早く正確に滑降するのはスキーと同じですが、2名の選手が隣り合ったコースで対決するルールですので、思いがけないドラマが生まれることがあります。「ハーフパイプ」は全長120メートルの半円筒形(ハーフパイプ)のコースで、約6回の技を繰り出し、演技の難易度、技の種類の多さ、完成度などを競う種目です。「スノーボードクロス」はコース上のバンク、ジャンプやキャニオンといった障害物をクリアしながら、他の選手より先にゴールすることを競う競技です。