冬季オリンピックの歴史と競技種目

冬季オリンピックの歴史と競技種目

2010年はバンクーバーオリンピックの年です。冬季オリンピックの歴史をひも解くと、その記念すべき第1回は1924年にシャモニー・モンブラン大会として開催されています。ここでは冬季オリンピックの歴史と、行われる競技にはどのようなものがあるのかご紹介します。

冬季オリンピックの歴史

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夏のオリンピック、単に「オリンピック」といわれるものですが、この第1回大会がアテネで行われた、というのは有名な話ではないでしょうか。

しかし冬季オリンピックの第1回がどこで行われたか、ということは意外と知らない方も多いことでしょう。


1896年のアテネ大会から遅れること28年、1924年に記念すべき第1回冬季オリンピックがフランスのシャモニー・モンブランにて開催されました。

実はその第1回大会は、開催期間中は正式なものではありませんでした。

その以前から、冬の競技を独立したオリンピックとして開催すべきではないか、という議論は起こっていて、「では試験的にやってみようではないか」という趣旨で開かれたのがシャモニー・モンブラン大会です。

大会は結果的に、良好な天候や多くの参加者に恵まれて大成功を収め、翌年のICOの総会で、正式にその大会が第1回と認定されたのです。


冬季オリンピックの競技

男の雑学[趣味]

ここでは、冬季オリンピックの全競技のごく簡単なルールと、予備知識などを紹介します。


■ スキー ■

アルペン

斜面をスキーで滑り降りる競技です。コースにはいくつもの旗門があり、そこを通過する必要があるので、選手は少しでもタイムを縮めるために、ギリギリの突っ込みをかけるところなどが見所です。アルペンという競技内で、更に細かい種目に分かれており、非常にスピード感あふれる「滑降」、細かいターンが必要となる「回転」、大きなターンが必要となる「大回転」、滑降と似た「スーパー大回転」という種目があります。


クロスカントリー

スキーというと「滑る」というイメージですが、クロスカントリーは「走る」に近い競技です。陸上競技でいうと短距離走やマラソンのような種目があります。種目では「クラシカル」や「フリー」というものなどがありますが、これは走法をさしています。「クラシカル」とは両足を揃えて、ストックを地面(雪面)に突き刺し、腕力で滑っていくような走法のことです。「フリー」は水泳でいう自由形と同じく、自由なのですが自ずと有利な走法となるため、スピードの出るスケーティング走法となるようです。「複合」という種目もあり、これは前半は「クラシカル」、後半は「フリー」というものです。


ジャンプ

高台にあるジャンプ台の斜面を滑り降り、地上の斜面に向かって大きくジャンプして、得点を競う競技です。実は昔、囚人に対する刑罰として行われていたものがスポーツへと発展しともいわれていますが、それは都市伝説だともいわれており、真偽のほどは定かではありません。日本が一番初めに金メダルを獲得したのもこの競技です。よく「日の丸飛行隊」などという古めかしいフレーズが使われるのは、この影響だと思われます。飛行フォーム・着地の美しさを5人の審査員が20点満点で審査し、最高点と最低点を除いた3人の合計点が飛型点となります。また、飛距離に対する点数として、ジャンプ台ごとに決められた「K点」という地点まで飛ぶと60点とし、それより前だと減点、超えると加点、となります。飛型点と飛距離点の合計がそのジャンプの得点となります。ジャンプ台は、小さめの「ノーマルヒル」と、大きい「ラージヒル」があり、種目として分かれています。


ノルディック複合

前半がジャンプ、後半がクロスカントリーという、2つの競技が複合された競技であり、この競技の覇者こそ「キング・オブ・スキー」の称号にふさわしいといわれています。ジャンプの得点は15点=1分と換算され、後半のクロスカントリーのスタート時の出発時間に影響を与えます。「個人」という種目では、ジャンプ2回、クロスカントリー15Kmです。「個人スプリント」では、ジャンプ1回、クロスカントリー7.5km。「団体」は4人で行い、後半のクロスカントリーが1週5kmでのリレーとなります。


フリースタイル

フリースタイルは歴史の浅い競技ですが、注目度は高いといえるでしょう。種目は「モーグル」と「エアリアル」、「スキークロス」という種目に分かれています。「モーグル」は雪のコブが並んだコースに2箇所、小さなジャンプ台があり、そこで2回のエア(空中演技)を行います。結果は得点制で30点満点です。得点配分はターン(コブのある斜面をしっかりと体重移動しながらターンできているか)が50%、タイム(ゴールまでの時間)が25%、エアが25%です。上位陣ではターンとタイムだけでは大きな差がつきにくいため、エア勝負!といった展開が多くなり、難易度の高いエアが見所です。「エアリアル」は急斜面を滑り降り、高さ3メートルほどのキッカーから跳び、エア(空中演技)を行います。エアの難易度点が20%、フォームが50%、着地が30%で、選手が事前に申告した技として審査・採点されます。助走前のこれからの演技をイメージしたダンスも、少し面白いです。「スキークロス」は4〜6人の選手がオートバイのモトクロスのように一斉にスタートして滑降し、ゴールを競い合う激しいレースです。


スノーボード

長野オリンピックから正式種目に採用されたスノーボード。スノボー版アルペンともいえる「パラレル大回転」は旗門を早く正確に滑降するのはスキーと同じですが、2名の選手が隣り合ったコースで対決するルールですので、思いがけないドラマが生まれることがあります。「ハーフパイプ」は全長120メートルの半円筒形(ハーフパイプ)のコースで、約6回の技を繰り出し、演技の難易度、技の種類の多さ、完成度などを競う種目です。「スノーボードクロス」はコース上のバンク、ジャンプやキャニオンといった障害物をクリアしながら、他の選手より先にゴールすることを競う競技です。


■ スケート ■

スピードスケート

説明するまでもないかもしれませんが、スケートリンクのトラックをひたすら早く滑ってゴールする競技です。短距離(500メートル)から長距離(1万メートル)まで様々な種目があります。変り種は団体戦の「パシュート」(追い抜き)で、1チーム3名の選手が並んで滑ります。先頭は風を受けて負担がかかるので、3名がかわるがわる交代しながら、男子は3,200メートル、女子は2,400メートルを滑りきります。スタートから、3名の内の最後の選手がゴールするまでのタイムで競い合います。2チームが同時に競技を行いますが、スタート地点はホームストレートとバックストレート、トラックの正反対になります。


フィギュアスケート

これも認知度の高い競技ですね。男子・女子ともに単独で行う「シングル」種目があり、「ペア」種目では男女1組が氷上で華麗な技を繰り出しながら、スケーティングを行います。審査員はTES(技術点)と、PCS(表情点)をつけ、その計が得点となります。それぞれに「ショートプログラム」と「フリー」があり、ショートは2分50秒以内、フリーは男子が4分半、女子は4分で行われます。最終的な順位は「ショート」と「フリー」の得点の合計によって決まります。


ショートトラック

これは、スピードスケートと同じスピード勝負を周回の短いトラックで行うものです。更に勝敗はタイムではなく同時にレースを行う4名(1500メートルは6名)での着順で争うため、駆け引きの要素が強くでることになります。先頭に立ち続ければ風の負担を受け続けることになるのです。接触や転倒も多く発生し、故意でなくとも他選手を妨害したという理由で失格になるケースも少なくありません。


■ アイスホッケー ■

アイスホッケー

氷のリンク上を1チーム6名の2チームが、スティックを使ってパックを相手ゴールに叩き込み、ゴールした得点で勝敗を競います。スピード感と迫力にあふれ「氷上の格闘技」と呼ばれることも多い競技です。チーム構成の基本はゴールキーパー1人、ディフェンス2人、フォワード3人という内訳ですが、場合によってはキーパーも攻撃に加わり全員攻撃をかける状況も存在します。ただし選手が反則を犯すとその程度により決められた数分間、退場を命じられることがあり、その間のプレーを「パワープレー」と呼んでいます。試合は20分×3ピリオドで行われ、選手交代は自由に行えます。


■ ボブスレー ■

ボブスレー

1,300メートルの氷のコースを、流線型の鋼鉄のソリに乗って超高速で滑り、ゴールまでのタイムを競う競技で、「スケルトン」と呼ばれる1人乗りと、「2人乗り」と「4人乗り」の種目に分かれています。最高時速は130〜140Kmにも達し、「氷上のF1」と比喩されることもあります。スタート前は選手はソリの外に出ていて、スタート合図と同時にソリを押して助走をつけてソリに乗り込み、ソリの先端部分が15メートル先のスタートラインを通過した瞬間にタイムの計測が始まります。その後はひたすら超高速の滑走が続きます。助走でのスタートダッシュ、全員のタイミングの良いスムースな乗車などがタイムに大きく影響します。また選手の体重も含めて総重量制限があり、2人乗りが390kg以内、4人乗りは630kg以内となっています。総重量は重い方が加速には有利であり、体重が軽い選手は重りを積み込んでも良いのですが、ソリを押す助走時にソリが重くなるという難点もあるので、一概に重い方が良いとはいえません。2日間で4回の滑走を行い、その合計タイムで勝敗が決まります。高速であるが故、1000分の1秒単位まで計測されることが他のスピード競技と異なります。


■ リュージュ ■

リュージュ

ボブスレーでも使用する1,300メートルの氷のコースを、小さなソリにうつ伏せで乗り、ほとんど身体が剥き出しのまま滑走していきます。男女ともに1人乗り、男子のみ2人乗りの種目があります。ボブスレーと同じく、2日間で4回の滑走を行い、その合計タイムで勝敗が決まります。1000分の1秒単位まで計測されることもボブスレー同様です。


■ バイアスロン ■

バイアスロン

クロスカントリーと射撃(ライフル)の複合競技です。「スプリント」種目は男子は10Km、女子は7.5kmで、30秒おきに選手がスタートしていき、タイムを競います。コースの途中に2回射撃を行います。1度目は伏射、2度目は立撃です。どちらも5発ずつ射撃を行い、的を外した回数に応じて、1周150メートルのペナルティーコースを走るというペナルティを与えられますので、射撃が縁遠い日本などには厳しい競技といえます。男子・女子の「個人」種目は、コースがスプリントのコースの倍の距離があり、射撃も4回行います。こちらは射撃は的を外したら走るのではなく、タイムに1分が加算されてしまいます。「パシュート」(追い抜き)種目は、予選として射撃を行い、その順にスタートして男子12.5km・女子10kmのコースを走ります。コース内で4回の射撃(5発ずつ)があり、スプリントと同様的を外した回数分、1周150メートルのペナルティーコースを走らなければなりません。「リレー」種目は4人がリレー形式でスプリントを行うようなものですが、違いは1回の射撃が8発で、内5発を命中させればペナルティ走がないことです。トリノオリンピックから「マススタート」という種目が追加されました。これは個人、スプリント、パシュート各種目のメダリストと、W杯上位選手の計30名が出場する種目で、一斉スタートすることが特徴です。男子15km・女子12.5kmのコースで、途中4回射撃(5発)。外せはその数分ペナルティ走です。


■ カーリング ■

カーリング

長野大会から正式採用されたカーリング。1チーム4名の選手で構成された2チームが勝敗を争う競技です。非常に戦略性の高い競技で「氷上のチェス」と呼ばれることもあります。氷上のコートに円状の的(ハウスといいます)が描かれており、約40メートル先のハウスに向かって直径約30cm、重さ約20kg程度の石(ストーン)を滑らせます。単純にいうと、投げたストーンがなるべくハウスの中心で止まればOKです。1度リリースしたストーンには誰も触ることは許されませんが、スピードや軌道修正をしたい場合、投球している選手以外の2名が「スウィーバー」となり、デッキブラシのようなブラシでストーンが通過する予定の氷面をこすります。(スウィービングといいます)。氷面の無数の細かい氷の粒(ペブル)がスウィービングにより溶かされ、ストーンの滑り具合や曲がる方向を調整することができます。1チームの4名は投球順が決まっており、その順に「リード」「セカンド」「サード」「スキップ」と呼ばれます。野球が9回まであるように、カーリングでは10エンドまであり、各エンドの点数の合計で勝敗が決まります。1エンド目の先行・後攻は事前に決めておきますが、2エンド目からは、前のエンドの勝者が先行となります。また、スキップはキャプテン・リーダ的存在で、ハウスに立ってチームメンバへの指示を出します。リードの選手が投球するときは、セカンドとサードがスウィーバーになり、セカンドが投げるときはリードとサードがスウィーバです。要はスキップはスウィーバーにはなりません。スキップが投球する際は、リードとセカンドがスウィーバーで、サードの選手がスキップの代役としてハウスに立ち指示を出します。1つのエンドの攻防は、まず両チームのリード選手から順に先行・後攻に従い、敵味方交互に2投ずつ×4名(計16投)投げあいます。ハウス内に残っている敵のストーンをはじき出したり、好位置につけた自チームのストーンを防御するような配置にストーンを止めたりして、16投が終わった時に、自チームの石が他チームの石よりハウスの内側にいる場合、自チームの勝ちとなり、他チームの一番ハウスの中心にいるストーンより更に内側にいる自チームのストーンの数が得点となります。両チームともハウス内にストーンが無い場合は引き分けの0点となります。

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